【海外】CDのリッピングやPCのバックアップは著作権法違反
8月6日、英国知的財産庁(UKPO)は、CDなどのリッピングを認めた改正著作権法が音楽家団体の訴訟により高等法院で否認されたことを受けて、iTunesなどのソフトを使用しCDなどをリッピングすることや権利者の許可なくコンテンツをPCにコピーする行為は英国著作権法違反であるとする新見解を示しました。
2014年の英国著作権法改正以前は、個人で購入したCD、DVD、Blue-rayであっても複製を行うと著作権侵害とみなされ、CDの音楽データをMP3型式で携帯音楽プレイヤーに保存することなどは著作権侵害に該当するとされていましたが、一方で個人が行う行為を取り締まることは難しかったことから、個人的な行為については黙認されていました。そのため英国政府は、そうした矛盾状態を解消するため、著作権法を改正し、2014年10月1日からリッピングは適法な行為として認められました。
しかし、この改正著作権法に反対する音楽家団体が、改正著作権法は無効とする訴訟を提起したところ、高等法院(High Court of Justice)は、8月6日に「権利者の許可なくコンテンツをパソコンへコピーする行為は違法である」とし、改正著作権法のCDなどのリッピングが合法であるという部分を無効とする判断を下しました。
この判決により、iTunesなどを利用してCDから楽曲をリッピングする行為や、コンピューター上でハードディスク内のバックアップを作成する行為を権利者に許諾なく行うことは違法となりました。
UKPOは、「今後は、自身が所有しているものを個人的な使用のためにコピーしても、権利者の許可なく行った場合は違法となり、同様にフォーマットの変換も違法となる。また、PCには他者が保有する様々な知的所有権が含まれており、PCのバックアップを取ることなども厳密には著作権法違反にあたる行為だ」とコメントして注意を促しています。しかし一方で、「個人的な使用目的におけるコピーが罰せられたことはこれまでない」ともコメントしており、個人がCDから楽曲をリッピングすることで生じる楽曲の著作権者に対する権利侵害は、個人と楽曲の著作権者との間の問題であり、英国政府は関与しないともコメントしています。