【海外】コストコがティファニーの名称で指輪を販売、22億円の賠償命令
TIFFANY & CO.(ティファニー社)がCOSTCO CORP.(コストコ)に対し商標権侵害に基づく損害賠償請求等を求めていた訴訟で、8月14日、ニューヨーク州連邦裁判所は、コストコに1940万ドル(約22億1400万円)をティファニー社へ払うよう命じ、ティファニーという名称を単体で使用することや、指輪やセッティングのスタイルを指して用いることを禁じました。
この訴訟は、コストコが、ティファニーと記載した看板を隣に配置してブランド物の高級時計を販売していたため、ティファニー社が消費者の誤認を招くとして2013年に提訴したことで始まりました。
裁判所は、コストコがティファニーと名付けて販売した指輪の売上額を370万ドル(約4億円)と認定しましたが、損害賠償額は実損の3倍に当たる1110万ドル(約12億円)及び懲罰的損害賠償金825万ドル(約10億円)と判決しました。
コストコは、「指輪の形状が「ティファニー・セッティング」という仕様で、納品業者の明細に「ティファニー」と省略されて記載されていたのを事務員が単純に転記してしまっただけで、意図的にティファニー社の商標権を侵害する意図はなかった。また、ティファニーという名前は、ダイヤモンドを使った婚約指輪のデザインの一般名称である。さらに、ティファニー社は自社(ティファニー社)のブランドをより記憶してもらうため、統一的に水色の包装を使用しているが、自社(コストコ)は水色の包装を利用していないため、ティファニー社の指輪と混同を生じない」と主張していました。
これに対し裁判所は、「コストコの販売員は、顧客からの問い合わせに対してティファニーリングだと返答し、ティファニー社の製品ではないと気付いた顧客からのクレームに対しても堂々と対応していた事実や、尋問時や審理前の対応を見てもコストコがティファニーの名称をセールスとマーケティングに使用していたのは明らかである。また、宝飾品のディスプレー方法はコストコのマーケティング戦略の中で重要な要素であり、ティファニーと記載した看板を付けて、ブランド物の高級時計の隣に配置して販売している。」と述べ、コストコの主張を退けました。
ティファニー社は、「判決に満足している。ティファニーの商標やブランド価値を立証でき、コストコや、自社(ティファニー社)の商標を侵害するその他の企業に対して強いメッセージを発信できた。ティファニーは単なる名称ではなく、厳格な基準や素晴らしい職人気質などを表している。」とコメントしています。