【国内】特許庁、第9回日米欧中韓五大特許庁長官会合の結果発表
6月3日、特許庁は、6月2日に東京で開催された第9回日米欧中韓の五大特許庁長官会合の結果を発表しました。
発表によると5庁は、五庁共同声明2016(東京声明)に合意しました。東京声明は、今後の五庁協力の目指すべき方向性として、「ユーザーとの関係強化」、「高品質で信頼性の高い審査結果の提供」、「発展する新技術への知財庁としての対応」の三つの取組みを掲げています。この三つの取組みの概要を以下に示します。
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ユーザーとの関係強化
五庁の取組に関する広報を拡大し、より広いユーザーの意見を取り入れるとともに、ユーザーサービスの向上に向け、各庁のベストプラクティスを共有し、さらなる改善点の発見につなげる。 -
高品質で信頼性の高い審査結果の提供
ワークシェアリングや品質、特許制度調和に関する取組の深化を通じ、五庁において高品質で信頼性の高い審査結果を提供するための協力を強化する。 -
発展する新技術への知財庁としての対応
IoTやAI等の新技術に対応するため各庁の協力を図るため、これらの新技術による影響について情報共有や意見交換等を進める。
また、この会合において五庁は、五庁の審査関連情報(ドシエ情報)の提供システムの基本機能の完成を報告するとともに、PCT国際出願の国際調査報告を五庁が協働して作成する枠組みの試行開始に合意しています。概要は以下の通りです。
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特許出願、審査関連情報の提供
五庁において、ドシエ情報の提供システムの基本機能の完成(五庁審査官への提供、公衆提供、世界知的所有権機関が提供するドシエ情報共有ネットワーク(WIPO-CASE)との連携)を確認し、更なるサービスの向上のためにユーザーから優先的な対応が求められている、出願書類や手続書類等のXML化、特許庁間での書類交換に関する実証実験、アラート機能、出願人名称の統一、リーガルステータスの実施内容等について合意。 -
PCT国際出願の協働調査の試行
ユーザーニーズや効果等の把握を目的として、五庁が協働して国際調査報告等の作成を行う枠組みの試行開始を合意し、この枠組みによって、ユーザーがより一層グローバルで信頼性の高い調査報告等を得られるようにする。 -
五庁における特許審査ハイウェイ(IP5 PPH)
IP5 PPH(日米欧中韓の特許庁間の取り決めに基づき、第1庁で特許可能と判断された発明を有する出願について、第2庁では簡易な手続きによって早期審査を受けられる枠組み)の試行期間の延長を合意。また、IP5 PPHの更なる利便性向上に向けて、申請様式の共通説明書を作成するとともに、各庁運用を整理し、その成果を五庁やPPHのウェブサイトに公表することで合意。 -
特許制度調和(記載要件、発明の単一性、先行技術の開示義務)
記載要件では、五庁で実施している仮想事例に関する事例研究の経過報告がなされ、今後も事例を追加し、事例研究の結果をもとに記載要件の調和の方向性を検討していくことで合意。
発明の単一性では、PCT国際出願の国際段階における運用調和を図ることで合意。
先行技術の開示義務では、迅速な審査や権利の安定化のため、ITシステムを最大限活用しユーザーの負担を軽減する方向性で合意。