【国内】文化庁、書籍の全文検索サービスを許諾不要にする方針
2月13日、文化庁は、大量の書籍を電子データ化し、インターネット上で特定のキーワードを含んでいるかについて書籍の全文を対象に利用者が検索できるサービスを始めやすくするために、著作権法を改正する方針を固めました。
現行の著作権法では、個人が家庭内で楽しむ範囲での書籍のスキャンは自由とされる一方、企業が行う場合は、利用者が読めるように書籍の数行分をインターネット経由で送信する場合でも著作権者の許諾が必要です。
文化庁は、文化審議会の著作権分科会の小委員会に有識者のワーキングチームを設置し、インターネット上で書籍の内容を検索することについて検討を行っていました。その結果、小委員会は、大量の情報が氾濫する中、作家らの権利を損なわない範囲でインターネットを活用して多くの人が書籍の内容を検索できるようにすることは文化の発展に役立つと判断し、著作権者に不利益が生じないよう留意しつつ、著作物の電子データ化やインターネット配信を著作権者の許諾無しに行える行為の範囲を広げる方針を打ち出しました。文化庁は、通常国会で著作権法改正案を提出して例外規定を設け、早ければ来年以降の施行を目指すとしています。
例外規定としては、書籍の売り上げが減らないように、閲覧できる内容をキーワードの前後数行に留める措置を取ることなどを想定しています。また、図鑑や俳句などの記述の短い著作物は、検索結果を表示することで著作権者の権利が大きく損なわれる懸念があることから、これらについての取扱いは別途詰めていく予定です。
なお、書籍の全文検索サービスは、グーグルが世界各国の書籍を電子データ化し、利用者が検索した単語が含まれる前後数行を読めるようにしていましたが、日本ペンクラブなどが著作権法に基づいて反発したため、グーグルは日本の書籍については大半を読めないようにしています。