４月２４日、円谷プロダクションは、ウルトラマンシリーズの日本国外での利用権について、米国訴訟で円谷プロダクションの主張が全面的に認められる判決が下されたと発表しました。
　この訴訟は、２０１５年５月１８日に円谷プロダクションが、ユーエム社がウルトラマンシリーズの日本国外での利用権を侵害していると中部カリフォルニア地方裁判所に申立てたことで始まりました。

　ユーエム社は、円谷英二氏の息子である故・円谷皐氏とタイ人実業家であるサンゲンチャイ・ソンポテ氏との間で締結した「ウルトラQからウルトラマンタロウまでのシリーズを、日本を除く全ての国において、期限の定めなく独占的に利用許諾する。」との契約書が存在しており、この契約をソンポテ氏から承継したと主張して、円谷プロダクションと２０年以上にわたり日本、タイ、中国、米国で係争してきました。

　この訴訟では、契約書の真偽が争点となっており、ソンポテ氏は「円谷皐氏と１９７６年に結んだもの。」と主張していたのに対し、円谷プロダクションは、「文書はわずか１ページしかなく、原本が開示されていない。また、円谷プロダクションの社名、ウルトラマン作品の名称、作品の本数が間違って記載されているため真贋について疑問がある。さらには、円谷皐氏が逝去した翌年の１９９６年になって、突如１９７６年に円谷皐氏が署名したとする文書の写しを持参したことにも疑問がある。」と主張していました。

　今回の米国訴訟では、証拠開示手続により円谷プロダクション及びユーエム社が持つ膨大な資料や通信履歴などが調査分析されました。その結果、カリフォルニア中央地方裁判所は、「先の契約書は真正な契約書ではなく、効力はない。」と判断しました。

　円谷プロダクションは、今回の判決について「当社の主張を全面的に認めるもので、今回の全面勝訴判決は、長い時間と膨大な労力をかけた精緻な証拠開示手続に加え、多数の証人の証言、筆跡鑑定の専門家の鑑定意見などを経て出されており、極めて信頼性の高いものである。この判決を踏まえ、今後さらにウルトラマン作品の積極的な海外展開を進めていく。」とコメントしています。